Friday, May 14, 2010

北米○語

北米英語なんて言い方を時々聞きます。これは、カナダやアメリカの英語をイギリスの英語と対比していることが多いと思いますが、つづりだとか発音だとか、この地域の英語の特徴をさしての言葉だと思います。北米英語というのは、別に悪いイメージはないと思うのですが、これがたとえば、北米フランス語(ようはケベコワだと思いますが)、北米スペイン語などなどというと、なんだか正統ではないようなイメージがついてくると思うのは、ちょっと勝手でしょうか。

知り合いにイベリア半島出身のポルトガル人がいます。日本のガイドブックに乗っているようなポルトガル語であいさつなんかをすると、(もちろん、ほんとは日本語なまりだとは思うのですが、)「それはブラジルなまりね。」と半分ジョークで、返してきます。ジョークとは思うのですが、いずれにしても正統(?)ポルトガル語という誇りがあるようです。


ところで、日本のNHKなんかのポルトガル語講座はブラジル・ポルトガル語だそうです。実際、日本語でかかれているガイドブックやウェブページのポルトガル語はブラジル・ポルトガル語のほうが多いのかもしれません。
そもそも、ポルトガル人よりもブラジル人のほうが人口で考えれば、ずっと多数派です。この事実を合わせて考えれば、現代ポルトガル語とはなにか?と考えたとき、どちらが正統というのは難しい状況である・・・といえるかもしれません。実際に、イベリア半島のポルトガル語は、すでにブラジルのポルトガル語からの影響を受け始めていて、2008年にブラジル風のつづりをポルトガル本国の側で新らしい記載法として取り入れることになったそうです。本当に、すでにどちらが正統/標準というわけではないようだと思います。


いずれにしてもアメリカ大陸のヨーロッパ言語(というより、アメリカ大陸にあった固有の言語や文化はほとんど破壊されてしまったわけで、現代においては、アメリカ大陸の言葉というほうが正しいかもしれませんが)は、それぞれ本国の言語とは少しづつ違っているようです。そして、アメリカ大陸での話者人口が、もととなったヨーロッパでの話者人口を越えている場合があるという事実は、日本語は、公用語や母語としているあるいは話者である人口が、ほぼ日本列島に限られていることを考えると、なんだか、とっても不思議です。



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